大渕光一様より、東京音楽学校卒業生でいらっしゃる叔母様・廣藤孝氏(旧姓:大渕。昭和10~13年に甲種師範科に在籍)の関連資料をご寄贈いただきました。
大渕様には以前も資料をご寄贈いただいており、今回は追加で、昭和10年代の入学案内・試験問題冊子や昭和40年代の学生募集要項・大学案内、昭和10~30年代の演奏会プログラム、そして賞牌など計15点の資料をお送りいただきました。大学史史料室で所蔵している資料はそのほとんどが文書資料であるため、賞牌のような「モノ資料」はとても珍しい資料です。
↓今までに大渕様よりご寄贈いただいた資料の一覧(Excelファイル)のダウンロードはこちらから
こちらが「精勤賞」と「奨學賞」の賞牌です。竪琴を持った人物がデザインされています。ギリシャ神話に登場する音楽家・オルフェウスでしょうか。「東京本郷 赤田商店謹製」と書かれた専用ケースに入っています。
裏面には「昭和十三年三月」と彫られています。卒業に際して授与されたもののようですが、併せてご寄贈くださった送付状の記載から、卒業式当日に受け取ったのではなく後日(同年5月)送付されたものだとわかりました。
実は当室ではもう1点、精勤賞の賞牌を所蔵しています。全く同じデザインで、同じく「昭和十三年三月」と裏面に彫られたものですが、こうして並べてみて、違いがあることに気づきました!元から所蔵していたものには右端の金色の「賞」の文字がありません。おそらく取れてしまったものと思われます。今回、大渕様のご寄贈を受けるまでは全く気づかず、これが完成形であると思っていました。同じ資料でも複数個あると新たな発見があります!
以前ご寄贈くださった資料群からも1点ご紹介します。
「蛍の光」の楽譜ですが、やはり音楽学校なので斉唱ではなく混声四部合唱です。最近ではめったに歌われない3番や4番の歌詞が見られ、時代が感じられます。
卒業式用の楽譜でしょうか?――いえ、どうやら違うようです。下部のメモ書きに「予餞会順序」と書かれています。「予餞会」とは、「卒業生を送る会」などとも呼ばれるイベントのことですね。式の後には会食や余興(映画会?)も行われたようです。きっと卒業式とはまた違った和やかで楽しい会だったことでしょう。
ご紹介した資料は、どなたでも大学史史料室にてご覧いただけます。ご興味をお持ちくださった方は、当ホームページの「お問い合わせフォーム」からご予約ください。
今回のようなモノ資料のご寄贈も歓迎いたします!
最後になりましたが、貴重な資料をご提供くださいました大渕光一様に心より感謝申し上げます。
(冨澤麻衣子)