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戦時音楽学生Webアーカイブズ
声聴館
戦時音楽学生Webアーカイブズ「声聴館」開館に当たって

私ども東京藝術大学では、2017年、大学史史料室ならびに演奏藝術センターが中心となって、本学創立130周年記念事業の一つとして「戦没学生のメッセージ」プロジェクトをスタートさせました。これは戦時下に東京音楽学校で学んだ学生たちの資料が不十分で、彼らが記録からも記憶からも消えてしまいかねない危機感から、彼らが遺した譜面を調査・発掘して実際の音として蘇らせることを目的としたプロジェクトでした。
そしてその活動資金調達ため、2度にわたるクラウドファンディングを実施したところ、皆さまから総額660万円のご支援を頂戴し、次のような事業を行ってまいりました。

  1. 2017年7月30日(日)
    戦没学生のメッセージ「戦時下の東京音楽学校・東京美術学校」
    シンポジウム&トークイン・コンサート(於東京藝術大学第6ホール・奏楽堂)
  2. 2017年11月23日(木・祝)
    戦没学生のメッセージ「アーカイブ推進コンサート1」(於東京藝術大学第2ホール)
  3. 2018年7月25日(水)
    「戦没学生のメッセージ~戦争に散った若き音楽学徒たち」CD発売(DISC CLASSICA)
  4. 2018年7月22日(日)
    戦没学生のメッセージⅡ
    シンポジウム「今「学徒出陣」をどうとらえるか」(於東京藝術大学第6ホール)
  5. 2018年7月29日(日)
    戦没学生のメッセージⅡ
    トークイン・コンサート「戦時下の音楽~教師と生徒」(於東京藝術大学奏楽堂)

私どもは、以上の事業を通じて、東京音楽学校に在籍した4名の戦没学生(葛原守、鬼頭恭一、草川宏、村野弘二)の作品を20曲以上紹介してきましたが、残念ながらコンサートで演奏しただけでは、限られた方々にしか届きません。そこでより多くの皆さまにそうした若き音楽家たちの存在を知ってもらうため、次なるステップとして、彼らの譜面やその演奏音源などをWeb上で順次公開していくことにいたしました。

それが今回、大学史史料室のホームページ上に開設した戦時音楽学生Webアーカイブズ「声聴館」です。現時点では、東京音楽学校に在籍した4名の戦没学生の譜面・日記等の資料と作品音源に限られていますが、今後順次、東京音楽学校以外の学生にも範囲を広げ、収蔵資料の一層の充実を図っていく所存です。つきましては戦没学生に関する情報提供も含め、皆さまのご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。

なお、この「声聴館(せいちょうかん)」という名称は、一般公募の結果、世田谷区在住の作詞家・保岡直樹氏のご提案を採用させていただきました。以下に保岡氏のメッセージをご本人のご了解のもと、掲載させていただきます。

◆保岡直樹氏のことば

(応募要項の)ホームページを拝見すると、“戦没画学生慰霊美術館「無言館」のような素敵な名前を”という文章に出会いました。そこで、同じように漢字三文字で『声聴館(せいちょうかん)』と名付けました。「声」は、戦没学生のメッセージをイメージ。また「聴」は、音楽のように耳を澄ませてきくという意味があり、戦没学生の声に深く耳を傾けるという思いを込めています。「せいちょう」は「清聴」「静聴」という響きも連想でき、Web資料館の趣旨にふさわしい名前だと感じました。

 

平成31(2019)年4月
東京藝術大学「戦没学生のメッセージ」プロジェクト
代表 大石 泰(東京藝術大学演奏藝術センター)
副代表 橋本久美子(東京藝術大学音楽学部大学史史料室)